【アイスランドドラマ】トラップ 凍える死体
アイスランドの刑事を主人公として繰り広げられるサスペンスドラマ。アイスランドという国、土地、気候や人々の暮らしなども美しい映像とともに垣間見れますし、サスペンスドラマ自体も意外と面白いんです。
メインのサスペンスドラマの流れや謎解きに加え、アイスランドのライフスタイルをじっくり鑑賞できてオススメ。以下はアイスランドに関する内容がメインですがドラマのネタバレも含みますのでよろしくお願いします。
トラップ 凍える死体 シーズン1(僅かにネタバレ含む)
ロケ地は「シグルフィヨルズル」
アイスランド北部の田舎町、「シグルフィヨルズル」という場所が舞台です。グーグルマップで見ると海沿いの北にある、本当に田舎町でした。実際の撮影のほぼすべてがここで行われたそうです。
2019年時点の人口は約1,800人。普通なら知られることのない規模の小さな町ですが、Netflixで全世界配信されるドラマでピックアップされたことで興味が沸いた方もいると思います。私がそうでした。田舎町でも人々のそこでの生活やライフスタイルに興味が沸くので。
ニシン漁とともに栄枯盛衰を味わった町
調べてみると1940-1950年にニシンの産業で栄えた町らしい。ニシン漁とその加工で1950年には3,015人まで人口が増えましたが、1970年以降ニシンが大幅に減少し、ニシン加工工場は閉鎖され「シグルフィヨルズル」の町から人が減り続けて現在に至ります。現在も漁業がメインの町ではありますが、人口は年々減り続けかなり危機的状況であることは間違いありません。陸路がかなり限定的で完全に陸の孤島です。
アイスランド政府は陸路の改善と観光地化を促進したい考えで、もしかするとその一環として「トラップ 凍える死体」のロケ地に選ばれたのかもしれません。
トラップ 凍える死体はアイスランドでも超高額な撮影になった
アイスランドの一般的なテレビドラマの撮影費用は1~2億ISKでしたが、「トラップ 凍える死体」はその10倍の10億ISK、約650万ユーロだったそうです。これは2015年当時、アイスランド史上最も高価な連続テレビドラマだったとのこと。
ほぼすべての撮影が「シグルフィヨルズル」で行われたようで、小学校や建設中のホテルなどは現在もそのままの状態で見ることができます。長期間の撮影だったはずなので、撮影時期の経済効果はかなりあったと思われます。
実際にドラマの評価はかなり高く、公開後はヨーロッパ各国で放送され、今では私たち日本人もNetflixで見ることができるわけで、世界中でこの小さな町で起こるサスペンスドラマを見ているんですよね。町の人たちからすると驚きだと思います。
ドラマでは飛行機でこの町に来ようとするシーンがある
実際の町を見てみると飛行機が発着できる滑走路と空港がありました。人口1800人の町に空港ですよ。
山に囲まれすぎていて完全に陸の孤島状態です。下の方にある直線が滑走路です。今回の事件のためにレイキャビクから本部の刑事のような人たちが飛行機で来るシーンがあります。ドラマを見ているときは気になりませんでしたが、このサイズの町に空港があるということが信じられません。日本の田舎町だったらまずあり得ない環境です。
アイスランドの冬が凄すぎて日本では想像できない野外シーンが多い
ドラマではほぼ吹雪いているので街の全貌があまり見えません。1話では猛烈に吹雪いているシーンがあって驚きました。
日本でここまで吹雪いていると車で外に出ようとか外に出ようなんてまず思わないレベルです。街灯もないし道が見えない状況でもアイスランドの田舎町では普通に車移動してしまうことを知りました。
多くのシーンでかなり吹雪いていても普通に車移動しているシーンが多く、日本なら確実に死を意識するレベル。アイスランドの気候とそこで生活する人の常識を垣間見ることができるのもドラマの面白いところです。
アイスランドの冬は北欧らしく日中も曇っていて暗い印象です。調べてみると冬の日照時間はたった4時間だそうです。ロケもこの短い時間で行われたのでしょう。
アイスランドの北欧らしさが小学校でも見て取れる
小学校の廊下には北欧デザインのペンダントライトが吊るされているのを発見。
北欧家具、北欧家電が好きな人は絶対に目が行ってしまうでしょうね。日本ではこんなペンダントライトは学校にないでしょうし、北欧の雰囲気をこんなシーンでも楽しむことができます。
警察官がたった3名の小さな町
シーズン1の舞台となる「シグルフィヨルズル」には警察官がたった3名しかいません。今回の主人公アンドリはこの田舎町の小さな警察署の署長として事件を解決していきます。
アンドリは元々レイキャビクの敏腕刑事だったようですが過去に色々あって飛ばされたような感じでした。陸の孤島レベルの田舎町で正直犯罪が起きるとも思えないレベルの場所なので、アイスランド的には飛ばされる先の町という感じなのかもしれません。
ちなみに、今回事件のひとつに関連する大型クルーズ船の乗組員と警察官の会話はすべて英語でした。アイスランド自体がアイスランド語を公用語とするものの英語もある程度通じるらしいことは知っていましたが、ここまで田舎の警察官が訛はあるもののボキャブラリーもしっかりした英語を話していたのは驚きましたし、実際アイスランドでどの程度の英語が通じるのか行ってみたくなりました。
複雑な家族関係が北欧らしいというかなんというか、かなりカオス
主人公アンドリは元妻の実家が「シグルフィヨルズル」にあり、ここに自分の娘2人と居候させてもらっていました。まあ義理の親からすれば実の孫たちであることは間違いないけど、離婚して他人になったはずの義理の息子との関係が良好であるところも面白いです。ずっと住む予定ではなく、今後住んでいく家をリフォームしているシーンが出てくるので、一時的な仮住まいとして居候している感じ。
さらに面白いのが、元妻が実家に一時帰省するのですが、一緒に現在のパートナーも来て、元夫、元妻、その新しいパートナー、娘たち、両親と元妻の妹が元妻の実家で一緒に暮らし始めるんです。
1話でこの複雑で大人数の家族が集まっているシーン。シュールすぎてどんな心境よ!?と思いますが、北欧の友人は結婚せずパートナーのまま子供がいたり、また別のパートナーが出来たり、という感じを昔から普通にやっているのでアイスランドも同じ北欧らしい「カチッと枠にはめない家族文化」があるのでしょうか?こういう人生の一部を見られるところも面白いです。
衰退する町と復興に中国の影
ドラマの中では町長を始めとして町の権力者が新しい港を再建し、中国を呼び込む計画を画策していました。ここでも中国か・・・という印象です。
アイスランドの人口はわずか37万人。本当に小さな国で、ここに中華資本が入ったら完全に終わるでしょう。
かと言ってその人口たった37万人のアイスランドどけで小さな町に資金を入れていくのは無理がありそう。そんなどうすることもできない小さな町の実情も見えてきます。2015年公開のこの時期にぴったりの話題も盛り込んでいて面白いですね。
ドラマ自体は複雑な状況が絡み合って、じっくり見ないと個別案件を把握できないレベル
シーズン1では、遺○発見に加え人○売買、さらには過去の署長であり現在の町長の不正、過去の火事など、多岐にわたっていて全体像の把握と個別の事件がどう絡み合っていくのか、別々の問題なのか、など正直把握するのは難しいレベルです。
冒頭で書きましたが、人口たった1800人の小さな町で起きるとは思えないほど事件が盛りだくさんなんですよね。なのでアイスランドの冬の雰囲気を楽しみつつ、しっかり全体を理解しながら見ていく必要があります。
それと人物名が難しくて顔と一致しないシーンが多く、また登場人物がかなり多い。だから名前は正直覚えられなくて適当に流す感じになってしまいます。その辺は割り切って見るしかなさそう。